それでも春はやってくる

 我が家の裏に龍神山という小高い山がある。毎年3月の終わりくらいに輪番で集落の数件の家が龍神講というお参りをしている。那珂川町(旧馬頭町)谷川(やかわ)地区は地元でも評判の美味しいお米の産地で、龍神山は集落の田んぼに流れる水の源になっている。我が家は山に入る通り道になっているので毎年機会があればご好意で同行させてもらっている。

 標高300数メートルの山だが、山頂に近づくにつれ勾配が険しくなり普通のスポーツシューズでは滑ってしまうような山道が続く。ようやくたどりついた山頂には石でできた小さな祠があるのだが、先日の地震の影響か崩れてしまっていた。その横にそびえていた松の木も根元から倒れていた。崩れた祠を立て直し、木にしめ縄を渡しお神酒とお供えを捧げ祈願する。今年も水に苦労することなく美味しいお米が収穫できますように!私も大家さんや地元の方に毎年新米をいただくので他人事ではない。今年はそれに加え龍神山の山裾に建つ我が家が無事だったことのお礼をした。祈願の後はお供え物の煮しめ物やお赤飯をごちそうになりお神酒をいただく。ほろ酔い気分で近くにあるゴルフ場や集落などを山頂から眺望しつつ、しばし色々なことを忘れ気持ちの良い時間を過ごす。山を降りて家に帰ってきたらゴンが気持ち良さそうに草むらに寝ていた。鈍感なのか大物なのか地震にあまり動じないゴン。声をかけたらムニャムニャ言いながら寝返りをうった。ン!?け・せら・せらっていま言ったかオマエ。

 毎年、龍神講が終わってしばらくすると稲の種モミから苗作りが始まる。そして4月の下旬前後にかけて田植えがはじまる。大昔から何があっても毎年変わらず同じように日本人は苗を植え米を収穫してきた。今年もまた美味しいお米がきっと収穫されることだろう。


我妻淳 の紹介

栃木県那珂川町で青白磁・白磁を中心とした磁器を制作してます。
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