骨董 久楽楽

 宇都宮の骨董店「久楽楽(くらら)」にお邪魔してきた。知人である店主の合澤さんは私が馬頭町に工房を構える際にいろいろお世話になった恩人だ。たまにお邪魔して、その時どきにお店に入ってきた品物を拝見させていただいている(客にもならないのにいつもありがとうございます)。

 普段手にとることのできない平戸三川内焼や古伊万里など店内にある焼き物を物色しつつ、店主の骨董談義に耳を傾ける。お店の主力である李朝家具や骨董道具などに囲まれていると、年代物の磁力のせいなのか落ち着いた心持ちになり居心地がよい。

 最初の画像は李朝の乳瓶。お産に際して母乳をこれに入れてお乳の出がよくなるように神様にお供えしたという。骨董店が舞台の『時代屋の女房』のペルシャのなみだ壷を思い出した。内容はうろ覚えだが夏目雅子の美しさとペルシャのなみだ壷なる品物が強く印象に残った映画だ。

次いで李朝時代の携帯カップ。縁起物の桃をモチーフにしたデザインで金属製と木製のもの。裏側の造形・装飾が美しい。先端が片口様になっているのでカップ以外の用途もあったかも。




 さらに李朝時代のものと思われる小刀。魚をモチーフにしたデザインで刃が独特の角度で止まるようになっている。なにか特定の作業に使われたものらしい。




 李朝の銀製のスプーンとお箸。スプーンの見込みには家紋かなにかの彫り文様がある。銀製である理由は仮に料理に毒物が入っていた際に銀が化学反応して知らせてくれるからだとか。宮廷で使用されていた品物か。




 北海道で使われていた千両箱。金属製の装飾がアイヌ文様をイメージさせる。本体とふたの噛み合わせは時代を経ても寸分違わぬ正確さ。職人技にほれぼれする。




 ひとの手から手に伝わった古い道具にはなぜか惹かれる魅力がある。これが民芸のいうところの“用の美”につながるものなのか。まだまだ勉強不足。もっといろんなものを見なければ…。

 毎月第三日曜日に宇都宮二荒山神社下バンバ広場で開催されている「宇都宮骨董市」に骨董店「久楽楽」さんも出店されている。お出かけの際はぜひお立ち寄を。