御前岩

 気付けばもう12月。朝晩の冷え込みもかなりキツくなってきた。先週くらいから屋外にあるゴンの飲み水を入れた容器も表面が凍るようになってきた。ロクロで水挽きした器が凍る季節もまもなくだ。
 紅葉もピークを過ぎてきたようだ。町の中心部から我が家に向かう途中にある『御前岩』という変なカタチをした岩のある観光スポット(?)の紅葉の様子を見に、ひさびさに立ち寄ってみた。以前は浅い川面に錦鯉が優雅に群れ泳いでいたりしていたのだが、彼らの姿が見えなくなって久しい。知人などが来て一緒に昼食でも、という時に連れて行く近場に唯一存在する飲食店もここにある。相手が子連れなどという場合はこの場所の説明は微妙なのでたいてい省いている。

 かつて栃木県の馬頭町(現那珂川町)は水戸藩の所領だった。じつは諸国漫遊をしていなかった徳川光圀公が、領内検分の際にこの岩を見て「かかるものを衆目にさらすことはよろしからず」と街道からこの岩が直接見えないように“腰巻竹”をもうけさせたという。この竹林の目隠しが今もある。どこまで史実かわからないが岩がどんなカタチをしているかは画像をクリック拡大してご判断を。
 町なかにある「わみや」というお店で“御前岩まんじゅう”という箱入りのお菓子を売っている。ゆず餡を小麦粉の皮で包んだ美味しいお菓子だ。旧馬頭町のお土産のお菓子ナンバーワンだと私はひそかに思っている。詰め合わせのおまんじゅうにはふたつのカタチがある。ひとつは御前岩をかたどったカタチで、もうひとつは松茸を模したカタチだ。インパクトじゅうぶんだが、お土産を持っていく先は慎重に選んだほうがよいかもしれない。