灰釉白磁コップ

我妻淳 灰釉白磁線文コップ
 知り合いの染色作家、山本さん( @wacca0some )からいただいた木灰を使った釉薬の作品です。

 ところで釉薬のおもな原料として石灰があります。安定した釉薬の溶融剤としてよく使われています。この石灰のかわりに草木を燃やした灰を使うこともあり、そうして作る釉薬は灰釉と呼ばれます。灰釉はリン酸分などが含まれ独特の風合いが出ます。

 良質な灰をとるためには、草木を燃やしてできる灰を何度も水に浸して上澄み液を捨てます。この上澄み液は灰汁(あく)と呼ばれます。灰汁はアルカリ質で灰を釉薬の原料にする際は徹底的に取り除きます。
 ところが、山本さんの手がける本建て(灰汁のみで建てる藍染)の藍染では草木の灰から出るこの灰汁が大活躍するのです。

 そして藍染に必要な灰汁を搾り切った後に残る灰は不要になります。それが焼き物屋の手に渡れば良質な釉薬の原料になります。

 昔はこのように染物屋さんからもらった灰で焼き物屋さんが釉薬を作っていました。染物屋さんは灰を扱う灰屋さんや料理屋などから灰を供給していたようです。なんかいい感じで循環してましたよね。

 益子もえぎ城内坂店MoegiBase( @moegi_base )で展示販売中です。2月24日まで。